毎年代変わりするので、その一匹が昔をしっている
訳ではない。しかし 親から子へとすこしずつ語り継が
れ今年羽化するセミたちはもう地上にでても 青空の
見える 公園ではなくなっていることを 知っている。
片隅に遊具があり、桜・くちなし・百日紅などが手入れ
され、四季折々に咲いていた公園ではないと・・・・
その公園がある「日本」は危惧されていた少子化の
対策をとれないまま 短期政権がころころと方針を変え
ねじれ国会などと呼ばれ、相手の失敗をオニの首でも
取ったように吹聴し 本来の仕事を後回しにしすぎた。
移民を受け入れるでもなく、火星や月に第二の生物を
探索する科学者を育てるでもなく・・・・・
1億を越していた人口は、2100年化石燃料が途絶え
るころ、4000万人になり、ウランなどの核燃料も底を
つくころ100万人にと、少子化の対策をきちんととらな
かった日本は かつて どこの国も 経験したこともな
いほどのスピードで国家の形を 失っていった。
それだけではない。絶滅する動物や、異常繁殖する
生きものが いままでの バランスを崩し、一時は便利
だった ヒトガタロボットも燃料や 製作司令するもの
がいなくては意味をなさない。
雨がふれば 川が決壊し、列車の線路はぼうぼうに
生えた草で覆われた。
飛行場に亀裂が入り、フライトもストップした。
巨大化した おい茂る木々はのたうちまわる根っこで
アスファルトを砂漠の砂にし ビルというビルを破壊
した。時折 ゴキが走り回った。
西暦3000年 夏 日本の人口は29人。
あなから出てきた セミが見たのは もはや公園では
なく うっそうと茂る 空の見えない森。
文明からみはなされた アダムとイブのようなカップル
セミは あまりの衝撃にうっかり 羽化を忘れるところ
だった・・・・・・・
