2010年12月30日木曜日

花と少女

その少女はもう何度も入退院を 繰り返していた。

腰や足の体を支える骨が弱く、骨折とリハビリを繰り返

し、そのたびに病院のその部屋にやってくるのだった。

まだ 真新しいランドセルを大事そうにかかえて やっ

てきた彼女はいままでと違って、教科書を読んだり

お絵かきをしたり・・・でも横顔は少し寂しそうだった。

女の子が生まれたころ、その窓のそばに植えられた

木もようやく 窓から中がのぞけるようになっていた。

木は たびたびやってくる 彼女の笑顔がもっと見たく

て神様にお願いした。

「神様、わたくしに 小さくていい 可愛い花を下さい」

その年の秋、木には びっしりと黄金色の小さな花が

まるでポップコーンのように開いた。

「まあ 可愛い」 おんなのこは にっこり笑ってくれた。

木はもっとそばで笑顔がみたくなってまたお願いした。

「神様 わたくしに うっとりするような素敵な香りを

 ください。」

次の秋 えもいわれぬかぐわしさに、少女は窓を開け

ニコニコと木をながめた。

木は自然の神が聞いてくれる3つのお願いの最後

を頼むことにした。

「神様、風が吹くと すぐに散る花にしてください」

・最後のお願いがそんなことでよいのかい・・・・

「いいんです」

次の秋 びっしり黄金色の 小さな花が よい香りを

放ち、開け放ったまどから 風とともに少女のベッド

に降り注いだ。

ちょうど同級生の見舞いか・・・少年少女が何人か

いて、歓声をあげた。

「わあ かわいい」
「きれいだね」
「いーーーいにおい」

ベッドのまわりではしゃぐ子どもたち。

ベッドの少女も笑ってる笑ってる。

・・・・・・よかった ちいさくて みじかい いのちでも
     こんなに喜んでもらえて花でよかった・・・・・・


この季節になると花のささやきが聞こえる・・・・・